「抑止したい」のか、「あとで見たい」のか
事務所・店舗に防犯カメラを入れると決めたあと、台数と位置を決めるためのページです。
同じ防犯カメラでも、狙いが二つに分かれます。ひとつは抑止。カメラがあることを見せて、そもそも起こさせない。もうひとつは記録。起きたあとに、誰が何をしたかを読み取れる映像を残す。この二つは、置く高さも、画角も、求める解像度も違います。
抑止だけを狙うなら、目立つところに大きめの筐体を置き、広く写します。記録を狙うなら、通る人の顔が正面から入る高さと向きに、狭めの画角で置きます。広く写せば写すほど、一人ひとりは小さくなります。「全体が見えているのに、肝心のところは判別できない」という映像は、この取り違えから生まれます。
台数の考え方は記事防犯カメラは何台必要かで扱っています。屋外や広い敷地は工場・倉庫・屋外の防犯カメラ、スマホから見る話は遠隔監視・スマホ確認へ。
狙いごとに、置き方が変わります
一台に全部を担わせようとすると、どの目的にも届かない映像になります。
| 狙い | 置き方と画角 | 向く場所 | この置き方では取れないもの |
|---|---|---|---|
| 抑止 (見せる) | 視線の高さより少し上。存在がすぐ分かる位置。画角は広め | 出入口の外側、駐車場、レジの真上 | 顔の判別。手元の細かい動き。「誰か」までは分かりません |
| 記録 (読み取る) | 顔が正面から入る向き。逆光にならない側。画角は狭め | 出入口の内側、レジのカウンター越し、バックヤードの扉 | 全体の状況。周りで何が起きていたかは別のカメラが要ります |
| 把握 (全体を見る) | 天井の隅から俯瞰。画角は最も広い | 売場全体、事務所のフロア、倉庫の中 | 顔も手元も判別できません。あくまで「いつ・どのあたり」を絞るための一台です |
店舗と事務所で、先に押さえる4か所
どこから入り、どこで金銭が動き、どこに人目がないか。この3点の周りに置きます。
- 出入口が何か所あるか。搬入口と裏口を数え忘れていないか
- その位置が、朝と夕方で逆光にならないか(窓とガラス扉の向き)
- 夜、消灯後にどこまで明るいか。看板や街灯の光が届く範囲
- 録画機を置く場所に鍵がかかるか(機械ごと持ち去られると映像も消えます)
- 天井の材質と裏の状況。配線を通せる経路があるか
- レジ・金庫まわりで、写ってはいけないもの(暗証番号、書類)が画角に入らないか
従業員が写るときは、先に決めて、先に伝える
店舗と事務所のカメラは、必ず自社の従業員も写します。ここを黙って始めると、後から問題になります。
個人情報保護委員会は、防犯カメラの映像も個人情報として扱われるとしたうえで、撮られていることを本人が容易に認識できない状況なら、認識できるようにする措置を講じなければならないとしています(法第20条第1項)。具体例として挙がっているのが、店舗や事務所の入口、カメラの設置場所への「防犯カメラ作動中」の掲示です。設置状況から防犯目的が明らかなら、利用目的の通知・公表そのものは不要とされていますが、掲示はしたほうが望ましいとされています。
従業員を対象とするモニタリングは、これとは別の話として整理されています。同委員会は留意点として、目的をあらかじめ特定して社内規程に定め、従業者に明示すること/実施の責任者と権限を定めること/運用ルールを策定して運用者に徹底すること/ルールどおり行われているか確認することを挙げています。あわせて、重要事項を定めるときはあらかじめ労働組合等に通知して必要に応じ協議し、定めたら従業者に周知することが望ましい、としています。
顔特徴データを抽出する顔識別機能付きのカメラを使う場合は扱いが変わります。外観からは顔識別をしていることが分からないため、利用目的の通知または公表が必須になります。導入を検討する場合は、掲示の文面から先に用意してください。
①入口とカメラの近くに「防犯カメラ作動中」を掲示する ②社内規程に、撮る目的・見られる人・保存期間・見るときの手順を書く ③運用を始める前に従業員へ説明する。この3つは、機器の設置より前に決まっていることが望ましい内容です。文面そのものは各社の事情によるため、当社では作成しません。
- 社内規程や掲示文の作成、労務上の判断は当社の担当外です
- 天井や壁の改修をともなう内装工事は承っていません。既存の天井裏・モール配線の範囲で施工します
- 受付は平日9:00〜17:00です。時間外の緊急対応はお約束していません
よくいただくご質問
ダミーカメラでも抑止になりますか
抑止だけを狙うならあり得ますが、いざというとき何も残りません。実際の相談では「入ったのは分かったが、顔が写っていなかった」という理由で入れ替えになることが多く、記録用が1台もない構成はおすすめしていません。
「防犯カメラ作動中」の掲示は義務ですか
個人情報保護委員会は、撮られていることを本人が容易に認識できない場合に、認識可能とする措置を講じなければならないとしており、掲示はその一例です。外観からカメラと分かる場合でも、掲示をしたほうが望ましいとされています。
録画はどれくらいの期間残せばよいですか
法律で一律に決まった年数はありません。実務上は、気付くまでにどれくらいかかるかで決めます。日々確認できるレジまわりなら短くて足り、月次の棚卸しで気付くようなものなら、その周期をまたぐ長さが要ります。記録装置の容量とカメラの台数・画質で決まるので、期間を先に決めてから容量を選びます。
休憩室やロッカーにも付けたほうがよいですか
おすすめしていません。着替えや休憩の場所は、従業員のプライバシーへの配慮が特に求められる場所です。盗難対策が目的なら、部屋の中ではなく、その部屋への出入口を撮る方法をご提案しています。
いまのカメラを増設したいのですが、混ぜられますか
録画機側の対応台数と、対応している映像方式によります。アナログの同軸配線が残っている場合、その配線を活かして更新できることもあります。現地で録画機の型番と配線の種類を確認してからのご回答になります。
- 個人情報保護委員会「よくある質問 Q1-13」(従来型防犯カメラの留意点) — 利用目的の特定、防犯目的が明らかな場合の通知・公表の扱い、法第20条第1項に基づく掲示等の措置
- 個人情報保護委員会「よくある質問 Q5-7」(従業者のモニタリング) — 目的の特定と社内規程への明示、責任者と権限、運用ルールの徹底、確認、労働組合等への通知と従業者への周知
- 個人情報保護委員会「民間事業者向け カメラと個人情報保護法」 — 顔識別機能付きカメラシステムでは利用目的の通知・公表が必要になること
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