VPNのご相談は、「拠点が増えた」「ファイルが共有できない」「在宅で仕事をしたい」という形で来ます。この3つは、同じVPNという言葉でも要求が違います。拠点間は常につながっていることが前提で、在宅は人の出入りが前提です。混ぜて設計すると、どちらかが不便になります。
もうひとつ、VPNの話には避けられない前提があります。VPN機器が、いま最も多く使われている侵入口です。警察庁の調査では、ランサムウェア被害の感染経路について、有効回答100件のうちVPN機器を利用されて侵入された事例が55件(55.0%)と報告されています。つなぐ話と、守る話を同時に決める必要があります。
拠点間と在宅で、求められることが違います
同じ機器で両方できることもありますが、決めることは別です。
| 拠点間接続 | 在宅・外出先からの接続 | |
|---|---|---|
| つなぐもの | 事業所と事業所。機器と機器で常時つなぎます | 人と社内。使うときだけつなぎます |
| いちばんの要求 | 切れないこと。切れると両方の業務が同時に止まります | 誰がつないだか分かること。出入りする人が変わります |
| 認証の考え方 | 機器同士の設定。人ごとのIDは持ちません | 人ごとのIDが必要。多要素認証を前提にします |
| 退職・異動のとき | 影響しません | 止める作業が必要です。ここが抜けると残ります |
| 回線の条件 | 両拠点の回線が両方効きます。片方が弱いとそこで決まります | 自宅側の回線はお客さま側の環境になります |
| 更新の難しさ | 両拠点を同時に止める段取りが必要です | 使う人全員の端末側の作業が発生します |
警察庁の資料では、VPNやリモートデスクトップ用の機器からの侵入が感染経路の8割以上を占めるとしたうえで、その原因としてID・パスワード等が非常に安易であったこと、不必要なアカウントがきちんと管理されずに存在していたことが挙げられています。試験的に作成したアカウントの安易な認証情報を利用されて侵入された事例も把握されているとされています。
IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、「リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃」が組織向け脅威の8位に入っています。VPNを入れることと、VPNを入れたあとの管理は、別の仕事です。当社では、入れる時点で「誰が管理するか」を書き残してお渡しします。
更新を止めない、がいちばんの設計です
入れたあとに何もしない前提で組むと、数年で入口になります。
- いまのVPN機器の型番と、ファームウェアの更新状況
- 外から届く経路が、ほかにも開いていないか(リモートデスクトップ、NAS、カメラなど)
- 接続できるIDの一覧。使われていないIDが残っていないか
- 多要素認証を使えるかどうか。使えない機器の場合は、別の手当てを検討します
- 両拠点の回線の種類と、固定IPかどうか
- 拠点ごとのネットワークの番号が重なっていないか(重なると設計が変わります)
- 接続の記録がどこに残るか、いつまで残るか
- 業務を止められる時間帯。更新のたびに必要になります
このページのご質問
拠点間をつなげば、ファイルはそのまま共有できますか
つながりますが、速さは回線で決まります。大きなファイルを両拠点で開く運用の場合、拠点間VPNよりクラウド側に置いたほうが快適なことがあります。何をどれくらいの頻度で開くかを伺ってから決めます。
在宅勤務のために急ぎで入れたいのですが
入れられます。ただし、IDを誰にいくつ発行するか、止めるときに誰が止めるかを先に決めていただきます。ここを後回しにした構成が、いちばん多く侵入されている形です。
いまのVPNが安全か分かりません
型番と更新の状況、そして接続できるIDの一覧を見れば、おおよそ分かります。更新が止まっているか、使われていないIDが残っているかの2点が主な確認項目です。UTM・ファイアウォールの簡易診断とあわせてお調べします。
多要素認証は必要ですか
在宅・外出先からの接続については、前提としてお勧めしています。IDとパスワードだけの場合、それが漏れた時点で外から入れる状態になります。機器やサービスによって使える方式が違うため、現地で確認します。
更新は自分たちでできますか
機種によります。管理画面から当てられるものもあります。どちらが行うかを、導入のときに決めて書き残します。保守で当社が見る範囲はネットワーク保守に整理しています。
- ご自宅側の回線や機器は、お客さま側の環境になります。切り分けの助言まで行います
- VPNを入れれば侵入されない、とは申し上げません
- 受付は平日9:00〜17:00です。時間外の緊急対応はお約束していません
- 社内規程やテレワーク規程の作成そのものは、当社の範囲ではありません
- 警察庁「令和7年警察白書 ランサムウェアの情勢」 — 感染経路アンケート有効回答100件のうち、VPN機器を利用されて侵入された事例55件(55.0%)、リモートデスクトップサービス31件(31.0%)
- 警察庁「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」 — VPNやリモートデスクトップ用の機器からの侵入が感染経路の8割以上。原因としてID・パスワードが安易であったこと、不必要なアカウントが管理されず存在していたことが挙げられている
- IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」 — 組織向け脅威の8位が「リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃」(6年連続6回目)
拠点のつながりを、一度棚卸しする
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